住民税は一定の所得がある人に対して掛かってくるのですが、前年の収入から算定されるため、前年に較べて収入が減ったときなどは支払いが困難なこともあるでしょう。
こちらの記事では、住民税の支払いができなくて不安な方に、支払いができないとどうなるのか?および支払えないときの対処の仕方を紹介しています。
また、住民税支払いが困難な理由が、借金が多いといった債務に関することなら、相談先のことも紹介していますので、最後までお読みください。
住民税を滞納していて払えないときに浮かぶ3つの方法
住民税の支払い免除は基本的にあり得ない
住民税支払いの免除は基本的にはありえません。
日本に住む人には「納税の義務」があり、よほどの事情がない限り税は免除されないようになっているからです。
自己破産などの債務整理をすると免除されるようなイメージもありますが、住民税は非免責権の一つであるため、自己破産をしても住民税を支払うことになります。
「今年は収入がないから住民税は払えない」という人も同様です。
住民税の支払額は前年の所得によって決まるため、今は無職でも昨年は働いていたという場合は、住民税は徴収されます。
前年も無収入であれば住民税の課税対象ではないので、支払う必要はありません。
住民税の支払いを待ってもらうことは一部で可能
支払わなければならない住民税ですが、どうしてもすぐに支払えないときは、市区町村の窓口にいき、「住民税の支払いに猶予」の相談をしてみましょう。
納税は国民の義務ですが、支払いたいけれど手持ちの資金がないなど、やむを得ない事情で今すぐには支払えないという人もいます。
多くの自治体ではそうした方のことも考慮しており、払えないという相談をすれば支払いに猶予を与えることがあります。
ただし支払いの猶予を得られるのは、やむを得ない事情をもつ人だけとなっているので気をつけてください。
住民税の未払い分を分割で支払うことは可能
自治体では住民税の支払いに猶予を与えるだけでなく、未払い分を分割払いにしてくれることもあります。
分割払い自体は多くの自治体が対応してくれますが、分割に関する明確な基準というのは存在しておらず、担当者の采配に大きく依存しますので気をつけてください。
また、分割払いは誰もが自由に受けられるものではありません。
転職などによって収入が半分以下になったという人や、会社が倒産して収入がなくなったり,災害によって会社が機能しなくなったり,など、諸々の条件が設定されます。
住民税を支払わずにいるとどうなる?
役所からの通知3ステップ
1.督促状
住民税を支払わずにいるとどうなるのでしょうか。
地方税法第329条で「督促状を郵送するのは住民税の滞納から20日以内」とあるため、滞納してから20日以内には督促状が届きます。
督促状には「延滞している住民税の金額」や「延滞税の金額」のほかに、「税金の納付期限」や「納付書」などが記載されています。
法律では督促状を発行してから10日が経過すれば差し押さえが行なえることになりますが、その前に延滞していた住民税を支払えば、差し押さえは発生しません。
2.催告書
督促状が届いてから10日以内に納税をしないと今度は催告書というのが届きます。
督促状には「支払いがなければ法的措置を取る」という意思があり、住民税の時効を防ぐ目的で内容証明が郵送されます。
住民税が払えないときは分割納付をするという方法もありますが、催告書が送られた人は「住民税を払う意思がない」とみなされるため、分割納付が行えない場合もありますので気をつけてください。
3.差押予告書
督促状や催告書を無視していると、今度は差押予告書というのが送られてきます。
差押予告書とは差し押さえを実施するという旨が記載された書類のことです。
差し押さえを防ぎたい場合は滞納していた住民税および延滞税を支払うしかないのですが、差押予告書が届くまで何もしないという人は、支払う余裕がないという人も少なくありません。
そうした方は役所の窓口にいって住民税のことについて相談するようにしましょう。
差し押さえ処分を受ける
住民税と延滞税の支払いがまだであり、かつ差押予告書が発送されてから10日が経過すると、いよいよ差し押さえがはじまります。
差し押さえにあたって最初に行われるのは「滞納した人の身辺調査および資産調査」です。
差し押さえられる給料や預金、不動産などがどれくらいあるのかをチェックしてから、差し押さえは実施されます。
差し押さえは本来、裁判所の許可が必要とありますが、税金に関する差し押さえは裁判所が関わることなく実施されます。
一般的に差押予告書が郵送されたあとに実施される差し押さえは個人情報保護法に抵触することもありません。
そのためもしも差し押さえられる財産が見つからなかった場合は、自宅や職場などに職員が行く「捜索」がおこなわれ、事前連絡なしに隠し財産がないかなどの調査が行われます。
住民税が払えないときの対処の仕方
市区町村の窓口に早めに相談する
住民税が払えない状況をそのままにしたら、待っているのは差し押さえによる財産の強制没収しかありません。
そのためまずは市区町村の窓口まで行き、払えないことに関する相談をしましょう。
払えないのだから意味がないと思うかもしれませんが、相談することは相手に「返済する意志がある」ことを伝えることになります。
さらに今もっているお金をその場で納めれば「未納の住民税を一部収めた」という実績を作ることにもなるため、決してムダな行為にはなりません。
支払いの減免を申し出る
金銭的な事情で住民税の支払いが困難であるときは窓口へ行き、住民税の減免を申し出るようにしてください。
納税の義務がある住民税は必ず収めるものですが、やむを得ない事情があれば、納税額を減らすことも可能です。
住民税を分納すると住宅ローンが受けられないという声もありますが、両者には関連性がないのでローンを受けることはできます。
ただし分納するぐらい資産状況が逼迫していることには変わりないので、分納中は住宅ローンの申請をしないほうがよいでしょう。
また分割返納で負担を減らしても「期限までには支払いきれていない」ことには変わりないので、延滞税が発生します。
そのため分割返納は一括返納よりも支払う総額が大きくなってしまいますので気をつけてください。
家族や知人にお金を融通してもらい住民税を支払う
住民税の支払いの猶予や減免する事情がないという方は、残念ながら住民税を満額納付するしかありません。
手持ちのお金が不足しているときは家族や知人に相談してお金を融通してもらうようにしましょう。
融通してもらったお金は必ず返済するのが基本であり、踏み倒したりすると訴訟に発展するといった深刻なトラブルが起きる可能性もあります。
お金を借りる時は必ず借用書を作るなど、慎重かつ誠実な対応が求められます。
金融から借り入れて住民税を支払う
家族や知人などからお金を融通してもらえないときは、金融機関からお金を借りて住民税を支払うという方法があります。
現在では申請したその日から借りられる金融機関も多くなっているため、住民税の延滞を即座に解決できるというメリットをもっています。
ただし借金であることに変わりはないので、住民税を納付したあとはこちらの返済をしなければいけません。
滞納すると住民税と同じく差し押さえなどが発生しますので、しっかりと返済しましょう。
借金の返済で家計が苦しくて住民税を滞納しているなら債務整理を
借金のせいで住民税を滞納しているときは債務整理をするという方法も有効です。
債務整理では住民税をゼロにすることはできないものの、借金の減額をしたり返済負担を減らしたりできるので、住民税の支払いに回せるお金が作れるようになります。
ただし債務整理ができるのは消費者金融など貸金業者から借りた借金だけであり、延滞した住民税などに対してはできませんので、気をつけてください。