任意整理するべきか悩んだとき判断基準になる3つの基準とは?

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任意整理するべきか迷ったとき判断の基準はこれ

「借金がどれだけあると債務整理をするべき?」多くの借金の悩みの場合、債務整理を活用して解決できますが、いまある借金の債務整理をするべきかどうかについては、どういったどんな基準で決めればよいのでしょうか?

 

借金問題は個人によって背景が異なってくるため、各々のケースにフィットする解決策を選択することが重要です。

そのためこちらの記事では、任意整理するべきか困ってしまったとき判断材料になる3つの基準について詳細をレクチャーします。

 

 

 

借金の返済の毎月の支払いを別の借金から回している

借金返済のため別の借金を反復していき、返済が困難になることを多重債務と言います。

返済額分を借入れていったら元金が積み上がっていき、結局のところ最初に借りた金額以上に借り入れることになるばかりか、支払いがいつまで経っても終わらなくなってしまいます。

 

総量規制にひっかかって新たな借金ができない

貸金業法の改正によって、2010年6月以後は総借り入れ金額が年収の3分の1を越すことが原則、禁止されました。

返済可能額を把握せず際限なく借り入れることにより多重債務に陥り、返済不能にならないようにすることを目的とした制度です。

 

もちろんこの制度によって差し支えが出るのが、利息を返すために自転車操業的に借り入れを行なっている方になります。

借り入れの制限額が年収の3分の1になると、新たな形で借り入れができなくり、利息の支払いが滞ってしまうでしょう。

 

ある試算においては、債務者の4割がこちらの総量規制に抵触しているそうです。

この層の債務者が債務整理の手続きをはじめたら、そうでなくとも困難になってきている消費者金融の経営状態がなお一層悪化することも考えられます。

消費者金融の経営状態が悪くなれば、債務者から過払い返還請求の起こしたとしても、貸金業者側に返還に充てる原資が無くなれば、取り戻せるものも取り戻せません。

早いうちに債務整理の手続きを開始して、取りはぐれることがないようにすることが大事です。

 

借金の深刻度を測ると危険ゾーンに入っている

自身の借金の深刻度合いを測るのが、任意整理をするべきか判断を正確にするための方策です。

返済負担率レシオ利息負担率レシオ資産負担率レシオを求めることが、自身の現時点での借金の状態を再確認することになるでしょう。

 

それぞれの指標の正常ラインと危険ラインは次にあげる数字になります。

 

正常ライン

危険ライン

返済負担率レシオ 0~19% 20%以上
利息負担率レシオ 0~   9% 10%以上
資産負担率レシオ 1%以上   0%

 

もちろん上表の数字は絶対ではないですが、指標を求めることでご自身の借金の状態をきちんと認識することができます。

 

1)返済負担率レシオ

住宅ローンを借りる場合に、返済負担率を算出して、適正な借り入れ金額を計算することがあります。

 

返済負担率とは、毎月の住宅ローンの返済額が手取り月収の何%になるかを見る指標です。

 

例:月収50万円の人の住宅ローンの月毎の返済額が20万円のケース

  返済負担率は40%

 

適正な返済負担率は25%以下と言われていて、およそ35%までは許容範囲になります。

 

住宅ローンの貸主の観点から見ると、返済負担率が高いケースだと貸出リスクが高まるので、返済負担率が高いほど適用金利がアップするのは道理でしょう。

 

なお、任意整理すべきかの判断は、返済負担率だけに限らず、利息負担率レシオと資産負担率レシオを含めて、客観的に判断することが重要です。

 

 

 

 

2)利息負担率レシオ

利息負担率レシオの計算方法ですが、利息の返済額が手取り収入額の何%になるかを見る指標です。

 

例:年収600万円夫婦、子供2人の一般的な世帯のケース

 

月収40万円でボーナス120万円、月収とボーナスを含めた月の平均手取額は41万円。

 

カードローンの残高が200万円で適用金利が20%だとすると、年間の支払利息は40万円で、毎月3.3万円の利息を負担していることになります。

 

したがって、利息負担率レシオ=3.3万円÷41万円で8.0%となります。

 

適用金利は同じ条件で、カードローン残高が400万円だとしたら、利息負担率レシオ=6.6万円÷41万円で16.1%となるのです。

 

 

 

 

3)資産負担率レシオ

 

例:

・カードローンの残高が1,000万円。残りの資産が1,000万円の場合

 資産負担率レシオは、1,000万円÷1,000万円で100%

・カードローンの残高が1,000万円。残りの資産が500万円の場合

 資産負担率レシオは、1,000万円÷500万円で200%

 

残った資産が一切無いケースでは、資産負担率レシオは0%となります。

 

 

 

任意整理をした場合のデメリットを知っておこう

ブラックリストに載る

任意整理の最も大きなデメリットとしては、個人信用情報機関への事故登録です。

俗称、ブラックリストの載ると称されるものです。

 

任意整理すると事故登録される期間の5年間は、クレジットカードや各種ローン、消費者金融の審査が通りづらくなります

貸金業者からの借入のみならず、物品のクレジット購入にも影響が出ることがあります。

携帯電話本体の分割払いでの購入の審査に、パスしないこともあり得ます。

 

元金を減らすことは難しい

任意整理では、元金を大きく減額することはかなり困難です。

 

任意整理によって期待してよい効果は、将来利息と遅延損害金のカットで、それと残っている元金の分割払い(3年から5年)になります。

 

 

返済していくために定期収入が必要

任意整理は自己破産のように借金が帳消しになる手続きではありません。

任意整理が認められたとして、利息カットされた元金の返済は、債権者から引き続き求められます。

 

任意整理の交渉のベースとなるのが「定期収入がある」ことです。

そのうえで返済していくことが困難にならない返済額を導き出して、計画を立てます。

 

任意整理の交渉が困難な債権者もいる

任意整理は裁判所の介入がない当事者間の任意の交渉ですから、債権者に対して借金減額を強制することはできません。

 

債権者である貸金業者との合意が成り立たなければ、任意整理が成立しません

 

 

 

任意整理は専門家である弁護士に相談するほうがよい理由

弁護士の受任通知で借金の取り立てを止めることができる

任意整理には法的な強制力がないため、債務者自身と貸金業者のやり取りで交渉は可能です。

ただ貸金業者は、債務者からの借金減額の申し出をいつでも受け入れると、利息収入を生業としているのに経営が立ち行かなくなるので、まず任意整理による借金減額には応じません。

 

弁護士が交渉にあたっても、あくまで債務者の代理人としてなので、貸金業者は借金減額には応じなくてもよいのです。

 

そのことをよく知る弁護士は、貸金業者に対して、「減額に応じてくれなければ破産も考えている」とほのめかします。

貸金業者は「破産などされて取りはぐれるより、返してくれるものは取ろう」との考えに従って、任意整理に応じるのです。

 

先に述べたとおり、弁護士は債務者の代理人です。

債務者の代理人として任意整理の手続きを受任したら、即、貸金業者へ「受任通知」を送ります。

貸金業者は「受任通知」を受け取れば、交渉相手が債務者から弁護士へ移るので、貸金業者からの電話・メール・FAXなどの通知は債務者あてには来ないことになります。

 

取り立ての電話などで悩まされていた場合も、その悩みから解放されます。

 

返済プランを一緒に考えてくれる

弁護士は、任意整理の手続きをお願いすると、貸金業者等の債権者との交渉によって借金を減額してくれるだけではなく、返済計画も一緒に考えてもらえるので頼もしい存在です。

 

 

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