障害者は借金返済できなくなると免除なの?返せなくなったときの対処法

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先生、障害者手帳を持ってると借金はチャラって聞いたけど本当?…。
そんなことはないな。障害者手帳を持っていてもいなくても、借りたお金は返済しないといけないよ。
そうなんだ。でも不自由な身体で借金の返済ってとてもたいへんそう…。
障害者が借りたお金を返せなくなった時、どう対処すればいいか知っておくのもいいね。

 

 

障害者でも借金の返済は免除されない

障害者手帳で借金返済を優遇されることはない

障害者に支給される障害者手帳を持っているとさまざまな優遇措置が得られますが、借金返済に関しては免除される要素は一切ありません

障害者手帳には身体に障害を抱えている人向けの「身体障害手帳」、統合失調症など精神に障害がある方向けの「精神障害者保健福祉手帳」そして知能に障害がある方に対する「療育手帳」の3つがあり、それぞれ障害者の状態に合わせて支給されます。

 

障害手帳も持っていると「医療費の調整」「税金の控除」「介護サービス」「電気代などの公共料金の減免」「交通機関にかかる料金の割引」などの優遇措置を受けられるのが特徴です。

ただしその中には「借金返済の免除」に関する項目は入っていません。

障害者手帳で受けられるサービスは大きく分ければ「税金」「医療」「交通」の三つに分かれています。

 

借金およびその返済に関してはそれらのいずれにも属さないことから、障害者手帳で受けられるサービスの範疇外となっています。

 

「高額の医療費を支払うために借金をすることもあるので、サービスに入れていもいいのでは」と思うかもしれません。

ですが国民健康保険など市民が加入している保険には「高額療養制度」というのが含まれています。

それにより一定額以上の医療費が発生しても一定以内に収まるように保健機関からお金が戻ってくるようなしくみになっており、 医療費によって借金をする必要がないようになっています。

 

障害者が借金を膨らませてしまった場合の対処はこれ

障害者の方で借金を膨らませてしまった場合の対処法は、大きく分けて2つの方法があります。

 

1つ目は「支出を切り詰めるなどして借金を自力で返済していく」というものです。

障害者の方であっても会社などに勤めて仕事をこなしているのであれば、安定した収入を入手しているはずです。

生活を見直して無駄な支出をできるだけ減らし、節約したお金も借金の返済にまわすようにして完済を目指します。

この方法は自力一人で行なえるので、取り組みやすいというメリットがあります。

 

2つ目は「債務整理を行なう」ということです。

借金の総額や自身の収入などを考えたときに、支出を切り詰めるだけでは借金を完済するのが難しいときがあります。

そうした場合は任意整理や個人再生、自己破産などの債務整理して、借金の返済負担を減らしたり、借金そのものを減額もしくは免除してもらったりするという方法があります。

債務整理は自身だけでなく債権者側にも少なくない影響を与えるので、弁護士など専門家の力が必要となりますので実際に行なう際は気をつけてください。

 

 

 

障害者も債務整理によって借金を減額できる

障害者においても収入があれば任意整理で借金減額が可能

障害を抱えた方であっても毎月安定した収入があれば任意整理を用いた借金の減額を行なうことが可能です。

任意整理が受けられる条件は「安定した収入がある」ことと「借金の総額が3年以内で完済できる金額」などであり「健常者が障害者かどうか」という項目はありません。

そのため障害者であっても条件を満たせば任意整理が受けられるようになります。

 

借金の種類によっては保証人がついていることがあり、もしも保証人がついている借金に対して任意整理をすると返済の請求が保証人にいくなど迷惑をかけてしまう場合があります。

任意整理であれば、債務整理をする借金としない借金を選べるようになり、保証人がついてる借金に関してはそのままにすることもできますので、保証人となった方に迷惑をかけずに借金減額が行えるという点もメリットです。

 

収入がない場合は自己破産を検討する

任意整理は借金を自力で返済することが前提になるので、安定した収入があることが必要になります

そのためひどい障害を抱えているなどの事情によって働くことができない方は任意整理を受けることはできません。

そうした方は自己破産を使った債務整理を行なうようにしましょう。

 

自己破産は借金そのものを免除することができるので収入がない方でも利用することができ、得られる効果も高いのが特徴です。

ただし自己破産すると100万円以上の現金は強制的に返済に使用されたり、自動車など評価額が20万円以上のものは強制的に売却させられて返済に用いられたりなど、さまざまな制限が発生しますので気をつけてください。

 

障害者の借金減額は?

  • 収入があれば任意整理で借金減額
  • 収入がない場合は自己破産を検討

 

障害者が自己破産する際に注意する点

障害者が自己破産する際の注意点としてあげられるのが「自己破産前に受給していた障害年金を差し押さえられてしまう可能性がある」ということです。

自己破産をすると借金をゼロにすることができるものの、現金は100万円以上は持てないなどの制限を受けることがあります。

 

障害年金をもらっていたものの、その大半を貯金していた場合、自己破産をすると貯金していた障害年金のお金が強制的に差し押さえられてしまうことがありますので気をつけてください。

 

また、障害年金を特定の口座から受け取るようにしている場合も注意が必要です。

年金は口座に入った瞬間に預金へと変化するので、債権者が差し押さえすることがあるためです。

 

障害者の方の中には生活保護を受けている方もいますが、こちらにも注意すべきポイントがあります。

基本的に自己破産をしている方であっても生活保護を受けることはできます

ですがケースワーカーに相談もせずに借金をしていた場合、まれに生活保護が解除されてしまうことがありますので、相談や報告はしっかりと行なうようにしましょう。

 

 

 

障害年金で借金返済を行なっても問題なし

障害年金は借金を返済している最中でも受け取れる

障害年金は借金をしている状態であっても問題なく受給することができます。

障害年金を受給する条件は「初診日が特定できること」「一定額以上の保険料を納付していること」、「初診日から1年6ヵ月以上が経過していること」などであり、借金の有無に関しては含まれていないからです。

 

また障害年金がもらえなくなる条件は「1年から5年ごと行われる障害年金の更新で、障害の度合いが一定以下になった」ということだけですので、借金ができたからといって障害年金が受給できないということもまたありません

 

障害の中にも身体障害、精神障害などさまざまな種類の障害がありますが、いずれの障害であっても借金の有無に関係なく障害年金を受け取ることができます。

 

借金の返済に障害年金を充てても問題ない

障害年金は借金の返済に充てることは可能です。

障害年金とは「本来もらえるはずだった給料を補填する」という役割を持っていますので、通常の給料と同じくそれを何に使用するのかは受給者の自由となっています。

そのため借金返済にも転用することができます

 

障害年金と似たような役割をもっている生活保護に関しては借金返済に使用することは不可能です。

生活保護は「市民の健康的かつ文化的な生活を送るためのお金」という役割があり、借金返済は健康的かつ文化的なものに当てはまらないので、そちらに使うことはできません。

 

障害年金を受給していても債務整理は可能

障害年金を受給していたとしても債務整理を利用することが可能です。

債務整理にはいろいろ種類があり受けられる条件も若干変化しますが、基本的には「今の返済状況では3年以内に完済することができない」というのが条件となっていますので、障害年金をもらっている状態でも、返済しきれないぐらいの借金を抱えていれば、債務整理を行なうことができます

 

また障害年金は毎月一定額が支給されることから、給料と同じく安定した収入を得ているとみなされるようになり、債務整理の中でも安定した収入がないと行なえない任意整理や個人再生が受けられるようになります。

 

障害者になってしまった場合、借金返済を放置しても問題解決にならない

金融機関からの借金は放置していても一切状況は良くなりませんので、もしも返済が滞ったり利息しか払えない状態に陥りましたら、なるべく早く債務整理をするようにしましょう。

障害者となった場合、長期の入院やリハビリなどの事情で仕事をおこなえない期間が存在し、それにより収入が下がることがあります。

 

また社会に復帰したとしても障害を抱えたことにより以前のような仕事ができないことから、職業に制限が生じたり、収入が下がったりするケースもあります。

そのため障害前は順調に返済していた借金が障害を抱えてしまったがために返済できなくなったというケースは珍しいことではありません。

 

障害者であったとしても「今の経済状況では借金を完済することができない」という状況に陥った場合は、債務整理が行えるようになりますので、なるべく早く手を打つようにしましょう。

 

 

 

障害者の借金減額は、専門家によって債務整理がベスト

債務整理は借金を抱えている自身だけでなく、お金を貸した債権者や保証人などに対しても少なくない影響を与えてしまいます。

そのため債務整理をするときは債権者や保証人たちと交渉することを避けて通ることができません。

 

身体や精神に障害を抱えている方にとって、そうした方々のところへいき、交渉をするというのはかなり大変なことです。

弁護士などの専門家に債務整理を依頼すると、専門家の方が本人に代わって債権者の方たちと交渉をしてくれるため、依頼人の負担をかなり軽減することができます。

依頼料に関しても、弁護士側が分割を認めてくれたり、法テラスを活用すればそこが建て替えてくれたりしてくれますので、借金の返済に困ったときは弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

 

 

障害者の借金問題についてQ&A

借金返済中に障害者になった場合返済を一時的に凍結できますか?

借金を返済している最中に障害者認定を受けたとしても、返済の凍結や猶予はされません
ただし貸金業者は利益を追求することと同時に、「障害者へ満額請求するとはアコギな会社」と言われないよう世間からの評判にも配慮するので、まずは事情を説明することをお勧めします。
この時、本人から申し入れてもいいのですが、弁護士から貸金業者へ告げてもらうほうが話がはやいです。

 

障害者は家族が代理人として債務整理の手続きが可能ですか?

債務整理は原則として本人以外が手続きすることはできません。
借金の返済中に障害者になってしまったとしても、配偶者,両親,兄弟などが債務整理することはできません
ただし裁判所を通さない債務整理である任意整理については、委任状を出して代理人が手続きを進められます。

債務者の障害の病気や怪我の状態がひどく判断能力が著しく低下した場合には、
家庭裁判所に申し立てて、債務者本人支援の担当者が選任される、成年後見制度を使えばよいでしょう。

後見人が債務者の財産を管理してくれるので、借金についても同時に管理してもらえます。

 

障害者手帳は借金があれば受け取ることができないのですか?

障害者手帳は、障害者と認定されれば、本人に借金があるなしに関わらず受け取ることができます

 

精神疾患(いわゆるうつ病)で障害者手帳は受け取れますか?

障害者手帳を受け取れます。従って障害年金の申請を行なうと、受給資格の審査をされます。
審査では精神疾患発症の原因や治療の履歴、日常生活にどれぐらい影響しているかをトータルで判断して、受給資格を有するかを決定します。

 

 

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