妻の借金をナイショで調べることができる?
妻の同意なしに信用情報は開示してくれない
妻が借金を抱えているかどうか知りたい場合は、信用情報機関から信用情報を取得するのが一番よいのですが、現実には不可能です。
信用情報は借金の借り入れ状況や返済履歴といったデリケートな情報であることから、信用情報機関には守秘義務が課せられており、本人以外は取得できないようになっています。
そのため妻が借金を抱えているかどうかを知りたいときは、ほかの手段から探らないといけません。
なお本人が生きている間、本人の同意なしに取得できませんが、本人が亡くなった場合の相続人に限れば、情報の開示を要求して取得することができます。
信用情報以外から妻の借金を調べる方法
クレジットカードの請求明細書
妻の借金の有無を調べる方法の1つが、「クレジットカードの請求明細書を確認する」というものです。
借金がなく日々の生活に必要なものにだけクレジットカードを使っているのならば、とくに抵抗なく請求明細書を見せられるはずです。
もしも見せることを拒んだり,抵抗してくる場合は、キャッシングやショッピングなどの借金をしていることが考えられます。
ATMのご利用明細書
ATMでお金を入れたり出したりしたときに発行される、「ご利用明細書」の金額を見ることでも借金の有無が推測できます。
夫婦の収入と日々の生活費を大まかに計算し、ひと月あたりの貯金額を計算します。
計算した額と実際の額に差があれば、貯金の一部が借金返済に使われている可能性があります。
通帳の入出金履歴
通帳の入出金履歴を確認するのも有効な方法です。
ATMからお金を取り出したり振り込んだりすると、その内容が銀行側のデータベースに記録され、通帳記帳などで確認ができます。
なお夫婦で共有している通帳ならばいいですが、妻個人が管理および運用している通帳を勝手に見るのは、プライバシーの侵害となりますので気をつけてください。
妻個人あてのあやしい郵便物
借金の返済が滞るようになると、債権者は債務者あてにハガキやDMを送って返済を促します。
もしも最近、見知らぬ団体や企業からのハガキやDMが増えたというときは注意してください。
そうした郵便物はダミーの会社名を使っているため外からはわからないようになっていますが、中には「いつまでに返済してください」など借金の督促内容が記載されています。
ただし一応妻あてに送られた郵便物ですので、中身を確認するときは必ず本人に許可をもらってから行なうようにしましょう。
自宅に妻個人あての不審な電話
郵便物を使った督促があっても借金の返済に滞りが発生すると、金融機関から督促の電話が来るようになります。
そのため妻個人あてに不審な電話が頻繁に来る場合は、借金を抱えている可能性が高いです。
債権者側もプライバシー保護のため会社名を名乗ることはなく、大抵は個人の名前だけを名乗るようにしています。
そのため電話が来たことだけでなく、誰から掛かってきたのかもマークしておく必要があります。
妻に借金があるとわかったらさてどうする?
妻の信用情報の開示を要求する
上記の手段で借金があることがわかったら、まずは妻の信用情報を開示させましょう。
借金をしていることがわかっても正確な金額まではわからないことが多いので、まず正確な金額を把握することからはじめます。
夫が妻の信用情報を取得できませんが、妻本人からの依頼であれば開示してもらえるので、妻から信用情報の開示依頼をするようにしてください。
借金をしているのが1社だけならばともかく、複数社に亘って借金していることも考えられますので、信用情報を取得するときは、JICCなどすべての信用情報機関から信用情報を取得しましょう。
借金の使途を把握する
借金の金額や借入先を把握できたら、今度は「どんな理由で借金をしたのか」など、借金の使途の把握を行ないます。
借金とは単純に返済すればそれで解決とは限りません。
たとえばギャンブルに使っていればギャンブル依存症、理由もなくショッピングを繰り返していれば買い物依存症を抱えているなど、借金の根底に問題を抱えていることがあるからです。
こうした依存症を妻が抱えていた場合、目の前の借金を返したとしても依存症によってまた借金を繰り返す可能性があります。
借金を返済するのと同時に、夫も協力しつつカウンセリングに通うなど、根本的に治療も行なっていく必要があります。
借金の原因が妻の個人的な理由に依るものではなく、たとえば子どもの教育費であったり、妻の親族への援助などであった場合は、借入の前に夫である自分に相談することを約束してもらいましょう。
借金の総額が多いときは債務整理を検討する
借金の金額を把握できたら「どのようにして返済していくのか」を考えることが特に大切です。
借金の金額が少なく、すぐに返済できるようであれば夫が立て替えたり、節約をして返済資金を作るのがよいでしょう。
ですが多額の場合は親族からお金を借りたり、妻が専業主婦ならパートに出て稼いでもらうといった対策が必要になってきます。
そうまでしても返済できる金額を超えている場合は、借金減額の債務整理を検討する必要があります。
妻の借金に夫が返済義務を負うのか?
夫には基本的に返済義務が生じない
「妻ないし夫の借金はもう片方が背負わなければいけない」と思われがちですが、そんなことはありません。
借金の返済義務を負うのは借金した本人と借金の保証人だけなので、保証人でない限りは夫側に返済する義務が発生しないようになっています。
ただし、まれに夫自身が知らないところで勝手に連帯保証人にされるというケースもあります。
この場合はどうなのでしょうか。
結論としては「合意がないので返済する義務はないものの、勝手に名前が使われたことを証明する必要がある」ことになります。
筆跡が自分のとは異なることや連帯保証人の確認連絡を受けていない旨などを伝えて、不正に任命されたことを証明し返済義務がないことを債権者に認めさせます。
夫に返済義務が生じるケース
保証人にならない限り返済義務は発生しませんが、勝手に連帯保証人にされた状態で1円でも借金の返済したときは別ですので注意してください。
この場合はあとから保証人となることを認めた「追認」が発生したとみなされ、返済の義務が発生するようになります。
とくに債権者はこの追認を狙って、返済義務のない夫側にプレッシャーをかけてくることもありますので、何を言われても彼らの口車に乗らないことが大切となります。
また、借金の使い途が「日常家事債務」にあたるものなら話が変わります。
「日常家事債務」とは、普段の生活に使うお金に対する借金です。
たとえば、家賃、光熱費、医療費、教育費、身分相応の衣料品・化粧品などがあります。
これらは民法761条―日常家事債務の連帯責任の規定により、夫である配偶者にも返済の義務が発生します。
離婚になったら夫に借金も分与される
離婚になった場合、財産は夫と妻で平等に分配されますが、借金に関しても例外ではありません。
夫婦間で平等に分配されることになります。
ただし分与される借金は生活費に関わるものや車など夫婦で平等に使っていたものだけとなります。
そのためパチンコなどギャンブルでできた借金は、普段の生活に使うお金と厳然に分けて個人が勝手に作ったものとみなされて、分与されることはありません。
借金の返済に困ったら弁護士など専門家にアドバイスを求めよう
妻が個人的に借金したものであれば、夫に返済義務はありません。
とはいっても同じ家で生活しているので、督促の煩わしさ、苦しさを味わうのは夫も同じです。
そうした苦しみから解放されるために夫婦で一緒に返済していくのはよいことですが、ときには返済しきれない金額の場合もあります。
今後どうやって借金を返済していけばいいのか悩んでいたら、弁護士などの専門家に相談するようにしてください。