公務員は、債務整理をしても、それだけが理由で免職にはなりません。
ただし、公務員が債務整理する場合に気を付けなくてはならない点がありますので、最後までお読みください。
債務整理をしても公務員を免職されない
債務整理の種類の中で自己破産をした場合、職業によっては一定の期間、資格制限を受けますが、この職業制限のうちに地方公務員・国家公務員は入っていません。したがって職業制限による免職の処分はありません。
ただし職業制限ではなくて、公務員には「地方公務員法第33条」の「信用失墜行為」という考え方があり、それに抵触した場合、懲戒の対象になるケースがあります。
「信用失墜行為」とは、行動が公務員として似つかわしくない場合のみに扱われます。債務整理の具体的な例を見てみましょう。
公務員の立場を悪用して犯罪行為に及び、生じた賠償金の支払いが立ち行かないため自己破産するといった場合、そもそも犯罪行為が「信用失墜行為」に当たります。
犯罪行為をしたなら、債務整理で自己破産することに関わらず、懲戒の対象になります。
なお、犯罪の賠償金は非免責債権ですから、自己破産手続をしても免責されることなく、支払うことが求められます。
借金の原因がギャンブルであっても、それが違法なギャンブルなどではない場合は、公務員の信用を失墜させたとまではならないので、「信用失墜行為」に当たらず懲戒の対象にはなりません。
公務員が債務整理するとき注意すること3点
債務整理後の生活費不足
どのような債務整理のケースでも、個人信用情報に事故情報として登録されることになります。
個人信用情報に事故登録されると、住宅ローン・自動車ローンのほか信販会社からクレジットカードを新たに作ることができなくなります。
信用情報を参照して貸付をする消費者金融からの借り入れもできません。いわゆるブラックリスト状態です。
公務員ほどしっかりと収入が保証された職業はないので、貸金業者は貸付をしたがりますが、ブラックリストに載ってしまったら、借入先がぐんと狭まります。
市区町村が行なっている生活福祉貸付の利用もできなくなることが想定されます。
そのため、債務整理後には生活費が不足することがないように注意をすることが必要です。
退職金の資産計上額
個人再生,自己破産の場合、配当の原資とする資産として、退職金の1/8を管財人に支払う必要があります。
債務整理をしなければならない状況なわけですから資産なんてあるはずもない…と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし退職金は、資産として取り扱われます。
退職金を資産計上する根拠は、退職金が給与の後払いという性質であるためと言われています。
しかし債務整理の時点では、自身が定年まで勤めあげるのかはわかりませんし、不本意ながら懲戒免職処分を受けて退職金が消え失せるようなケースもあるので、退職金全額を資産に計上するわけにはいきません。
こうしたことから自己破産の場合、退職金の1/8の額を資産として計上するのが原則なのです。
退職金1/8の額は自己破産手続きにおいて債権者への配当として算出されますが、いますぐ退職してお金に替えてくださいということじゃなくて、配当するために管財人に支払う必要性があるのです。
個人再生のケースでは、清算価値保障として、退職金の存在によって弁済額があがることも想定されます。公務員は民間企業に勤めることと比べると、退職金の額が多くあるので、要注意であるといえます。
共済組合からの借金を債務整理すると、職場にバレることも
公務員の借金には特徴があり、共済組合からの借り入れがあるケースが多いです。
自己破産や個人再生の申請手続きをするときは、この共済組合からの借り入れも含める必要があります。
そして共済組合からの借金を債務整理すると、職場にバレる可能性があります。
自己破産,個人再生の手続きで裁判所へ提出する書類に「給与明細」が含まれますが、
共済組合からの借入に対する返済は給与天引きなので、「給与明細」に天引きの事実が載っている時点で裁判所へは隠せません。
自己破産,個人再生の手続きを実行してもらう弁護士から「受任通知」を共済組合へ送った時点で、職場には債務整理のことが知れてしまう可能性が著しく高いと思っておいたほうがよいでしょう。
従って、共済組合から借入していて職場にバレないように債務整理するなら、共済組合の借金を除いて任意整理の方法を取らなくてはなりません。
公務員は任意整理の債務整理手続きを選択しましょう
公務員は、債務整理の手続きのなかで、まわりにバレるリスクが少ない「任意整理」をセレクトすべきです。
ポイント
公務員が債務整理したことがバレる3つの原因
共済組合からの借り入れがある
先述のとおり、公務員の債務整理がバレるパターンとして、共済組合から借入があり、自己破産,個人再生など裁判所が絡む手続きをした場合があります。
互助会からお金を借りている
共済組合と同じ様な理由で、互助会からお金を借りているケースも気をつける必要があります。
職場の互助会が行なっている貸付制度を使って借金している場合も、債務整理対象になってしまうことがあるので、そうした場合、互助会にバレることがあります。
官報によってバレる可能性がある
個人再生や自己破産で債務整理をすると、官報に名前や住所が記載されるので、そこから債務整理をしたことが知られてしまう可能性があります。
任意整理なら債務整理する対象の借金を自身で選択できるので、共済組合や互助会からの借金を除いて債務整理することが出来ます。
また任意整理の手続きは、債権者と債務者が直接話し合いをして借金の減額条件を合意するという債務整理の方法なので、外部に知られる可能性も小さいでしょう。
このとおり債務整理には、任意整理や個人再生、自己破産など様々な手続き方法があるので、自身に合った方法を選ぶことが不可欠です。
そのためにも、まずは専門家の弁護士に、借金返済の相談をすると安心できます。
債務整理の手続きは専門家の弁護士に相談を!
弁護士事務所へ依頼すれば、家族や職場に秘密で債務整理することに手慣れているので確実です。手元にお金がなくても手続きできるようになっているため、借金返済で悩んでいる場合には、まずは弁護士に相談するといいでしょう。