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債務整理をしても配偶者にバレることはないの?
債務整理の手続きにより配偶者にバレる可能性がある
債務整理には、任意整理,過払い金請求,個人再生,自己破産があります。
このうち、配偶者や家族に内緒で手続きを進められるのは、任意整理と過払い金請求になります。
個人再生と自己破産は、裁判所への申立てが必要で、必要となる書類も多くあり、配偶者含め家族に内緒で手続きすることは困難です。
例えば、共働き家庭で個人再生の手続きをする場合、本人のみでなく、配偶者の給与明細や源泉徴収票が必要になるケースがあります。
自己破産の場合は、債務者本人の名義で一定以上の財産価値のある預貯金や不動産などは没収されてしまいます。
債務者本人名義の持ち家に住んでいるなら、家を明け渡さなくてはならないため、家族に内緒で債務整理の手続きすることは不可能です。
また、預貯金,株や債券、生命保険などを処分するときに、配偶者に内緒でこれらを行なうことは難しいでしょう。
さらに、個人再生や自己破産は、裁判所が入って行なう手続きなので、債務者本人が裁判所へ出向く必要があります。
裁判所のほかには、破産管財人や民生委員などと面談をする場面も出てきます。
平日の昼間に勤め先を休んでこれらへ出向いていけば、家族が不審に思ってバレる可能性があるでしょう。
債務整理をする債務者本人が受けるデメリット
個人信用情報に債務整理情報が登録される
個人信用情報とはいわゆるブラックリストのことですが、そこに記録されるのは、返済の延滞情報から債務整理の情報などです。これらを事故情報と呼びます。
個人信用情報に事故情報が記録されている期間は、債務整理の手続きによって異なります。
一般的に、
返済の延滞は5年以内
任意整理の情報は5年程度
個人再生または自己破産の情報は7から10年程度
の期間、記録されています。
この期間中は債務者本人の名義で、新たにクレジット,ローン契約はできないものと考えてください。
官報に記載される
任意整理や過払い金返還請求は、債務者本人と貸金業者との間で進める手続きなので、官報に載ることはありませんが、個人再生と自己破産手続きを申し立てた場合、住所と氏名が官報に記載されます。
自己破産の手続きでは開始決定の約半月後 と、免責決定の約半月後の計2回記載されます。
また個人再生の手続きでは、開始決定の約半月後と書面決議決定の約半月後、および認可決定の約半月後の計3回記載されます。
官報自体は一般の人にあまり馴染みもなくてほとんど読まれませんが、情報がヤミ金業者に流れて、執拗に借り入れの要求してくることがあり面倒なことになる可能性があります。
自己破産に限っては職業制限がかかる
自己破産に限っては、一時的に就ける職業の自由が制限されます。
自己破産の開始決定から免責決定を受けるまでの約半年~1年の期間においては、
弁護士,司法書士などの士業のほか、会社の取締役、保険の外交員、警備員などの職業に就くことはできません。
これらの職業に就いていた人が自己破産の手続きをする場合は、一時的に休業することになります。
また引っ越して転居する場合、あるいは長期の旅行に出る場合も、裁判所の許可が必要になります 。
債務整理が配偶者に与えるデメリット
夫婦のどちらかが債務整理をしても、基本的に配偶者の信用情報には影響しません。
ただし、債務整理をしたほうは 新たにクレジット契約やローン契約ができないため、生活をしていく上では支障が出てきます。
また、クレジットカードの途上与信の際、配偶者に事故情報がある場合は、稀にカードの利用制限がかかることがあります。
特に生計を一にしている配偶者が債務整理をした場合、専業主婦(夫)のほうは最悪カードの利用を停止させられることがあります 。
債務整理をしても配偶者の信用にキズがつくことはありません
配偶者が保証人でない限り、配偶者の信用情報には影響なし
債務整理の相談に来られる方の心配の上位にあげられるのが、「債務整理をしたら配偶者の信用情報にも影響があるのではないか」というものがあります。
結論から申しますと、債務整理をしても配偶者の信用情報に、直接影響がおよぶことはありません。
ただし、これは、配偶者が保証人でないということが前提です。
例えば債務整理をしたのが夫で、妻が専業主婦であったとしても、生計を一にしているからと妻の信用情報へ即座に影響するかと言えばそうではありません。
しかし妻名義のカードの途上与信で、夫が債務整理をしていることが判明すると、妻のカードが利用停止になるなど影響することが稀にあります。
そして、配偶者が保証人であった場合は、債務者本人の債務整理によって、即座に保証人の信用情報にも事故情報が登録されます。
配偶者が保証人である場合には注意が必要
配偶者が保証人の場合、債務整理の手続きによって、夫婦ともども個人信用情報に事故情報が登録されます。
夫婦ともブラックリストに載った状態となり、揃って新たに借り入れができなくなるばかりか、生活するのに必須と言っていいクレジットカードを、夫婦とも使えないということになります。
もちろん住宅ローン、車のローン、子どもの教育ローンに至るまで、あらゆる分割払い購入ができません。
官民あげてキャッシュレス化をすすめていかれるなかで、日常生活に相当な不便を強いられるでしょう。
そして最も注意しなくてはならないのが、債務整理の手続きをしたら、債権者からの返済の請求が配偶者へ移行されることです。
家計をひとつのサイフで賄っているなら、借金問題の解決になっていないので、配偶者が保証人の場合、夫婦同時に債務整理することをおススメします。
夫婦で債務整理をする場合は同時にするのがよい
夫婦で多重債務なら同時に債務整理を行なうべき
夫婦で多重債務の場合は、債務整理の手続きは同時に行なうべきです。
どちらか一方のカードを残して債務整理の手続きをした場合、残しているカードを使ってしまうので債務整理をした意味がなくなります。
これは、債務整理をした方の債務を残した側に付け替えているだけなので、借金問題の解決になりません。
多重債務で返済が苦しいことから、債務整理をすることによって借金問題を解決するなら、 夫婦で同時に債務整理を行なうことが大事です。
夫婦で同時に債務整理をするとクレジットカードや各種ローンが使えなくなることから、生活に不便が出てくることは否めません。
ただ多重債務で借金返済に苦しんでいる現状を変えるには、 一度に整理することを念頭においてください。
必ずしも夫婦一緒にでなく別々の解決法も選ぶことができる
夫婦で同時に債務整理をする場合には、必ず同じ解決法でなければならないということはありません。
たとえば、夫は任意整理、妻は自己破産を選ぶことも可能です。
夫の債務には保証人つきのものがありその保証人に対して影響をおよぼしたくない、さらに妻は勤めに出ておらず、今後定期的に返済をしていくことが困難な状況などの場合です。
また、夫は個人再生、妻は任意整理を選ぶことなどもあります。
妻は奨学金を返済しておりそれには個人保証がついていて、夫は持ち家を残して残りの債務を減額して返済していくなどの場合です 。
このように夫婦のその時の債務の状況や、保証人の有無,あるいは定期収入のあるなしなどから、借金問題を解決していける債務整理の方法を選ぶことができます。
債務整理の手続きは専門家に委ねるのがイチバン
借金問題の解決のため債務整理の手続きを依頼するなら、専門家である弁護士に相談しましょう。
債務整理の各手続きは、本人が申立することも可能ですが、債権者や裁判所との交渉,それにたくさんの複雑な書類のやりとりがあり、かなり煩雑です。
一日もはやく借金問題を解決するなら、早めに弁護士へ相談をしましょう。