正式な認可を受けず、違法な金利で貸付を行なういわゆるヤミ金から融資を受けている場合、業者が法律から逸脱しているので返済しなくてよいのでしょうか?
こちらでは、ヤミ金への返済に関する正しい知識を解説していますので、最後までお読みください。
目次
ヤミ金からの借金に返済義務はなし
ヤミ金の大部分が法律で定めた上限以上の違法金利で貸付を行なっているので、契約自体が無効となり、したがって返済義務も無くなります。
ヤミ金への返済義務がない法的根拠―最高裁の判例
ヤミ金へ返済しなくていい法的根拠として、最高裁の判例をご紹介します。
平成20年6月10日最高裁判決
ヤミ金業者が債務者に対して、高利(年利数百%~数千%)で貸し付けたケースでは、ヤミ金業者は元金の返還を請求することが不可能との判例が出ています。
つまり債務者は、利息だけでなく元金もヤミ金業者への返済する義務が無いのです。
さらに、債務者(債務者)がヤミ金業者に対し損害賠償請求を行なった場合、損害額から元金分の減額が行われない、つまり支払った元金・利息の全額を損害として請求することが出来るのです。
悪意がある借り逃げは詐欺で立件されることも
基本的には借金を返せないからといって直ちに詐欺罪になることはありませんが、場合により詐欺罪が成立することがあります。
法外な利息の借金は、元金も利息も返済しなくていという法的根拠が存在したとしても、ヤミ金から借り逃げするつもりで借金してよいということではありません。
本来返済する意思が一切無いのにお金を借りるという行ないは詐欺に当てはまり、借りた側が犯罪に問われることが想定されます。
また、民法1条2項では、「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行なわなければならない」と規定していますので、悪意のある借り逃げ行為は、この信義則にも抵触します。
従って、一般には、借入当初から返済する気がなかった債務者に関しては、「不法原因給付の法理」によって救済されない確率が高いです。
では、借金が詐欺罪にあたるケースなどのようなものか、具体例をあげてチェックしてみましょう。
1 | 嘘をついて借り入れしたケース |
詐欺に該当するオーソドックスな例が、以下のように嘘をついて借り入れを行なうことです。
1)就業していないのに正社員であると嘘をつく
2)借金の総額を少なめに知らせる
3)事業資金のためと偽って借り、借りたお金を他の目的で使用した
借入のときに事実を述べないと、信用ゼロなので貸付自体を受けられないものですが、ヤミ金は与信調査が雑なこともあり、事実でない情報を伝えても貸付してくることがあります。
2 | 返済の意思がないと取られるケース |
いくら返すつもりはあったと申し述べても、状況証拠から返済する意思が無かったと認められると、詐欺罪にあたるとされることがあります。
次にあげるような状態での借り入れは、返済の意思がないと判断される可能性があります。
1)ずっと前から多重債務や長期延滞で返済が難しい状況にある
2)借金をしてから少しも返済していない
3)借り入れのすぐ後で債務整理を考えている
ヤミ金業者は完済されたくないのがホンネ
意外に感じ取る方も多いかも知れないですが、ヤミ金被害に遭ってしまう人は、性格がいたって真面目な人がほとんどです。
支払いを滞納してはいけないと自身を律する人ほど、ヤミ金でリスクのある取引をしても返済期日までにお金を工面しなくちゃと、強く責任を感じるものです。
ヤミ金がどれだけ違法行為でも、借りたお金は返すべきだと強く思いがちです。
ヤミ金は、返済期日の約定額を利息分だけに設定しておいて、ずっと元金が減らないようにするのが常套です。
その理由は、ヤミ金業者は元金を完済されることは望んでいないからです。
ヤミ金は、一度貸し付けた債務者に対して元金をずっと減らせないことによって、永続的に利息を取り続けることを行なっています。
ヤミ金へ返済しないとどうなるの?
本人とその家族に厳しく取り立ててくる
返済が延滞すれば、ヤミ金は債務者の家族や親戚・会社や友人など当事者以外にも取立てを行なうので、債務者自身の周りからの信用を失うことになりかねません。
勤め先・取引先に嫌がらせ・脅迫はずっと継続する
利用者が電話での取立てに応じないケースでは、ヤミ金は債務者の勤め先に連絡を入れてきます。勤務先に連絡してきて、債務者本人の借金をほのめかすような嫌がらせをします。
嫌がらせによって利用者を焦らせ、それでも債務者が返済できない場合は、代わりに弁済することを強要したり、もっと悪質なら脅迫してきます。
弁護士に依頼すれば解決に導いてくれる
ヤミ金からのくどい嫌がらせにより、普通の生活が送れなくなったなどの実害が出て、すぐに取立てや嫌がらせを止めさせたいケースでは、ヤミ金問題をよく知る弁護士に解決を依頼してみてください。
ヤミ金問題のエキスパートに問題解決のお願いをすると、早い場合、依頼当日中にヤミ金あてに受任通知を送ります。
ヤミ金業者が弁護士の介入を認識したタイミングで、ほとんどのヤミ金業者は取り立てや嫌がらせをやめます。
稀にくどい業者もありますが、弁護士が根気強くヤミ金業者と交渉をしてくれるでしょう。
ヤミ金被害に遭っているなら早急に弁護士に相談を
弁護士が介入することで、取り立てや嫌がらせがおさまるのはどんな理由からかというと、法律家の介入があったタイミングで、当該の顧客に執着することがヤミ金業者からしたら損にしかならないからです。
具体的にいうと、ヤミ金業者にとって次に示すようなリスクがあるためです。
1)強引な取り立てを行なうことが明るみになり、捕まるリスクがあること
2)弁護士に口座を凍結されるなど、この先のヤミ金の営業に不都合が出る可能性があること
3)弁護士から違法性を指摘されて、営業停止のリスクがあること
こうした理由により、弁護士が介入したタイミングで、ほとんどすべてのヤミ金業者は債務者への接触から手を引くものと思われます。
また、もともとヤミ金は違法な金利で営業する業者なので、裁判で弁護士を敵にまわしても勝つ見込みはないと判断しているからです。
ヤミ金業者は、弁護士介入がない債務者から引き続き高利の利息を貪り、私腹を肥やしたいので、弁護士介入があったいち債務者へ固執するあまり全体を手放すことのないように振る舞います。
債務のことで悩みが深いなら、正規の貸金業者にもヤミ金業者にも対処してくれる弁護士に相談することで、なるべくはやく解決してしまいましょう。
まとめ
なんらかの事情でヤミ金と関わってしまった場合、債務者自身の動きでヤミ金と縁を切るのは容易でないと思います。
借金問題は弁護士に相談・依頼をすれば、ヤミ金とすぐに手を切るためのアドバイスをしてもらえます。
またヤミ金だけでなく、債務のことトータルで解決してもらえるでしょう。