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義理の親の借金は安易な口出しや手出しはしないほうがよい
保証人でなければ、義両親の借金の返済義務はない
義両親が借金を抱えていて返済できないような状況に陥った場合、その子供が借金の肩代わりするとイメージがありますが、原則として保証人になっていない限りは子供が親の借金を返済する必要はありません。
借金の返済義務を負っているのは、借金をした本人あるいは借金したときに指名した保証人だけとなっているため、たとえ身内であっても他人とみなされるため返済の義務が発生しないようになっているからです。
ただしそのことを知りながらも債権者が子どもに対して、義両親が返せなくなった借金の返済を要求してくることがあります。
そのときは「保証人になっていないので支払う義務はありません」といってと断るようにしましょう。
ここで最も厄介なケースは「義両親が勝手に保証人にした」場合です。
子ども側が明確に保証人になる意図があれば問題ありませんが、子ども側の意思に関係なく保証人にされてしまうことがあります。
勝手に保証人とされた場合は民法708条の「不法原因給付」に該当する事例のため、支払に対する義務は発生しません。
ただし勝手に保証人にされたということを状況証拠などで証明する必要があります。
債権者から契約書のコピーをもらって筆跡を調べたり、印鑑が偽造されたものかどうかを確認したりする必要があります。
また不正に保証人にされたことに関しては義両親側も簡単には認めないと思われますので、問題がこじれる前に弁護士などに相談して対策をとるようにしましょう。
親の借金のことで夫(妻)から離婚を切り出されるケースも
親が借金を抱えてしまうと、そのことをきっかけに妻や夫などの配偶者から離婚を切りだされてしまうケースがあります。
そのときに多いのが「しつこく親がお金を借りてくる」ことです。
借金が親の経済力の範囲内で返済できればよいのですが、もしも経済力以上の借金をしてしまったときは子どもや親戚などからお金を借りてでも返済するという行為がよく行なわれます。
親から何度もお金に関する申し立てがもあり、かつ以前貸したお金がまだ返済されていないようなときは、夫ないし妻がうんざりしてしまい離婚を切りだしてくることがありますので気をつけてください。
親の借金がもとで離婚をしたというケースはほかにも「遺産相続したとき」に発生することもあります。
親が亡くなると、親が残した財産は遺産となって子どもや孫などが相続することになります。
ですが遺産の中には現金などプラスの遺産のほかに借金といったマイナスの遺産が含まれていることがあります。
プラスの遺産だけ引き続ぐということはできず、プラスとマイナスの両方の遺産を引き継ぐか、あるはどちらも引き継がないのいずれかを選ばなくてはいけません。
そのため遺産相続するときには見つけられなかった借金が後になって発見され、すでに財産を引き継いでしまったがために、借金を追加で引き継ぐことになり、その借金が原因となって離婚に至る場合があります。
もしも親が亡くなったときは、プラスの財産とマイナスの財産は徹底的に調べてから相続するなど調査はしっかりと行なうようにしてください。
返済を肩代わりしても、義両親の借金問題の解決にはならない
親が返済できないぐらいの借金を抱えた時に一時的に肩代わりするという方法も考えられます。
そのときにいくつが気をつけるべきことがあり、その1つが「借金に対する事情をしっかりと把握しておく」ことです。
たとえば義両親が新しい事業を行なったがために借金をしたとしましょう。
この場合は肩代わりと同時に新しい事業の内容についても精査する必要があります。
もしも借金に対して新事業が十分に利益を得られるものでなかったり、多額の利益を獲得できる見込みがなかったりするときは、事業の撤退も検討していかなければいけません。
気をつけるべきポイントの2つ目は「肩代わりをしたという前例」を作ってしまうことです。
人は安定した状況になると積極的にリスクをとっていこうという性質があります。
そのため義両親がした借金に対して子どもが肩代わりしたという事例を作ると、親の中に「借金をしたとしても子どもが肩代わりしてくれる」という意識が芽生えることがあるので注意しましょう。
そうした意識が義両親に生まれるとさらなる借金をすることがあり、結果として義両親と子供の両方が返済できないような状況に陥り共倒れになってしまうことがあります。
借金の肩代わりをするときはそうした点についても気をつけて行なうようにしてください。
義両親の借金を肩代わりしたら注意すること
- 借金の理由と新たに借金していないかをしっかり把握する
- 肩代わりする金額の上限を決めて合意しておく
義理の親が多額の借金を抱えている場合の対処法
任意整理で将来利息をカットする
多額の借金に対する対処法の1つが任意整理を行なうということです。
任意整理は裁判所などを経由せずに、債務者本人ないしその代理人が債権者と交渉して、将来利息のカットや返済期間など変更などを決めていきます。
借金の元金を大幅に減らすことはできないものの、借金返済に対する負担は減らせるのが特徴です。
借金の元金があまり減らないことはデメリットのように感じますが、同時に官報などに債務者の情報が記載されないので、周囲に債務整理をしたということを知られないというメリットもあります。
個人再生で借金を大幅に減額する
多額の借金に対して債務者が取れる方法が2つ目は個人再生です。個人再生を行なうと借金の元金を、一定額以下まで減らすことができます。
住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円以下、かつ将来的にも継続的な収入が得られる人限定で行なえる債務整理となっています。
裁判所を利用して借金の元金を減らすことになるので、任意整理以上に借金の負担を減らせるメリットをもつ一方で、こちらが用意した返済計画に沿って返済していかないと債権者から申立をされて、個人再生そのものが取り消されてしまうこともあるので注意が必要です。
自己破産で借金をチャラにする
多額の借金に対して行える対策の3つ目は自己破産です。
任意整理や個人再生は借金を返済していくことが前提なのに対して、自己破産は借金そのものをチャラにすることから免責が決定されれば、以後は返済に苦しまなくてよくなります。
自己破産は、求職活動の人など安定した収入をもっていない人であっても利用できる反面、利用するまでのハードルが最も高くなっているのが特徴です。
また債権者の負担を軽減する目的で100万円以上の現金や、住宅など評価額が20万円以上の資産は没収および売却されてしまい、そのお金が借金の返済に充てられてしまうなど、自分の資産が失われてしまうことがありますので気をつけてください。
ポイント
義両親の借金の保証人なら、借金減額を債務整理で行なう
債務整理の手続きは、弁護士に任せるのがイチバン
義両親が借金をしていたとしても、その子供には原則的には返済を肩代わりする義務はありません。
ですが借金の保証人となっていた場合は別です。義両親側で返済できない状況に陥ったら、保証人である子どもにも返済の請求がいくようになります。
これは自己破産などの債務整理をしたときも同様であり、債務者が免責されたとしても保証人は免責されていないので、返済の請求が保証人に向かうようになります。
そのため債務者が債務整理をするときは保証人も一緒に債務整理を行なわなければいけません。
そうした債務整理を行なうには高度な法律の知識が必要であり、個人で行なうのはとても大変ですので、弁護士などの専門家に依頼したほうが簡単かつ確実です。