お金にまつわるコラム

債務整理後だと教育ローンの審査が通らないって本当?

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先生、親が以前に債務整理をしていると、教育ローンの審査が通らないって聞いたんだけど…。
微妙だね。教育ローンには銀行や信販などの「民間の教育ローン」と、日本政策金融公庫の「国の教育ローン」があるけど、どっちも審査があるから信用情報によっては通らないこともあるよね。
困っちゃうなぁ。
入学後の授業料は奨学金で払っていく予定だけど、入学前に納める入学金などは教育ローンに頼らないといけなくて…。どうしよう…。
確かに奨学金が振り込まれるのがだいたい入学後の4~6月だから、
入学前に必要なお金を教育ローンでと考えるよね。でも諦めるのはちょっと待って。なにかいい考えが出るかもしれないよ。

 

債務整理で信用情報に登録しても、教育ローンは使えます

 

任意整理などで信用情報に登録されると、あとから教育ローンが組めないんでしょうか?

答えはNOです。

民間の銀行や信販会社の教育ローンでは、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の信用情報をもとに審査するため、任意整理の”事故歴”が登録されている一定の期間はまず通らないです。

しかし、国の教育ローン機関である日本政策金融公庫の「教育一般貸付」は、KSCとCIC(株式会社シー・アイ・シー)の信用情報だけで門前払いをすることはないでしょう。

なぜなら日本政策金融公庫は、「もともと低い収入の親の家庭の子どもにも教育を受けさせたい」という目的で行われている事業なので、営利目的の民間ローンとは異なる審査方法をとっているからです。

従って信用情報に”事故歴”があっても国の教育ローンにダメもと」で申し込むのもひとつの方法です。

教育ローンの審査に影響することが心配で、債務整理することをためらっているのであれば、まずは一度、弁護士に相談してみましょう。

 

 

 

債務整理後、教育ローンを利用できるまでの期間は5年

民間の教育ローンは、任意整理後の最低5年間は借りることができないと思ってください。

民間の教育ローン審査は、申し込み人の収入や返済能力よりも信用情報を優先するので、信用情報に”事故歴”が登録されているおよそ5~7年間は、審査が通らないでしょう。

国の教育ローンは民間と同じく信用情報を閲覧しますが、審査方法が異なるので、信用情報に”事故歴”が登録されてされている期間であっても、利用申込みすることをおすすめします。

 

親が債務整理してても、奨学金の審査は通ります

奨学金は子どもの名義で借りるものなので、親の信用情報は関係ないのです。

奨学金を申し込む際に「個人信用情報の取扱い関する同意書」を提出するのですが、これが親の信用情報を審査されるのでは…と勘違いされるケースが多いのです。

実際は「奨学金の返済を3ヵ月以上滞納した場合に、名義人である子どもの情報を信用情報機関に登録しますよ、という意味ですから、親の信用情報は関係ありません

親が債務整理中の場合、子どもの奨学金に関係するのは、連帯保証人になれないことです。

親が保証人になれなければ、他の人,たとえば親族などに頼ることを考えなくてはなりませんが、親が債務整理中であることを知られることにもなるので、あえて人的保証にこだわらず「機関保証」を選びましょう

「機関保証」とは日本国際教育支援協会が保証する制度です。保証料はかかりますが、将来、子どもに万が一のことがあっても、親は返済義務を負わないというものです。

もし奨学金のことが心配なあまり、債務整理の手続きをためらっているのなら、まずは一度、弁護士に相談してみましょう。

 

 

 

教育ローンは、任意整理・個人再生・自己破産の選択が可能

任意整理は貸金業者との交渉で、将来利息を0円にしてもらうことで元金のみの返済となります。

しかし教育ローンの金利は、国の教育ローンが固定金利で年利1.71%、民間の教育ローンは変動金利で年利1.5~3.5%程度という低金利です。

従って将来利息を0円にしてもらっても、他の無担保融資の返済に比べて、返済総額がさほど減りません。

教育ローンについては、任意整理によって大きなメリットはないでしょう。

国の教育ローンの場合は、元金の返済を猶予してもらい、利息のみの支払いでよいという制度があります。

ただ、猶予してもらう期間は「子どもが学校へ通っている間」に限られてしまうので、子どもの卒業後は猶予してもらった分も上乗せして返さないといけなくなり、返済額が一気に上がります。

在学中は返済額が軽減されるも、返済総額が変わるのではないので、メリットは大きくありません。

個人再生は、住宅を残して教育ローンの元金を大きく減らすことができるので、住宅ローンがある人はとてもメリットがあります


● 債務整理別の教育ローンを減らす特徴 ●

債務整理 特徴
任意整理 元金のみの返済となるが、もともと低金利なので、恩恵が少ない
個人再生 住宅を残して教育ローンの元金を減らせる
自己破産 免責決定で、返済しなくてもよい

 

債務整理中でも、教育ローンの審査はまったく通らないことはありません

国の教育ローンに申し込んでみる

国の教育ローンは民間の教育ローンと同じく、申込人の信用情報を審査に使いますが、他社から借り入れ分を任意整理中でも、申し込んでみましょう

営利目的である民間の教育ローンと違って、「進学に関する家庭の経済的負担軽減と教育の機会均等をはかる」ことが目的の国の教育ローンは、任意整理中でも門前払いをしない可能性があります。

ただ融資の対象となる条件がやや厳しいのが特徴です。
世帯年収890万円以下(子ども2人の場合)はともかく、上限を超える場合は、

・勤続(営業)年数3年未満
・居住年数1年未満
・年間所得の返還負担率30%超

の条件があります。

現時点では現預金が少なくても、長期的には返済能力があると判断されれば、審査に通る確率が上がります。

 

家族や親族の名義で教育ローンに申し込んでみる

教育ローンは一般的に、進学する子どもの両親どちらかの名義で組みますが、祖父母またはその他の親族の名義で申込みも可能です

ただし、金融機関から理由をたずねられることがあります。

例えば両親が収入に比べて借財が多くて新たに借り入れが無理であるとか、債務整理中であるなどといった場合などですが、金融機関からの問い合わせには隠さず事実を言いましょう。

金融機関は教育ローンを申し込みされてきた人の信用が重要であって、たとえ両親といえど直接取引しない人の信用は関係ないと判断するからです。

 

まとめ

以前に債務整理をした,あるいは債務整理中であっても、教育ローンを組む際には、国の教育ローンに申し込んでみましょう

確実に融資を受けられると保証はできませんが、民間の教育ローンの審査では、まず通らないからです。

また、教育ローンを利用する算段であるがために、現在の借り入れの債務整理を迷っているなら、弁護士に相談してみましょう。

 

 

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