お金にまつわるコラム 借金滞納

奨学金が返せない!するとどうなるの?対処法と救済制度のこと

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先生、奨学金も毎月返済していくものだから、払えなくなったときどうにかできるの?…。
そう、奨学金も広い意味で借金なんだから、返せなくなったときの対処の方法と助けてもらえる制度があるんだよ。
息子が就職して社会人になっても、いつ雇い止めに遭うかわからないし、払えなくなるリスクは決して0(ゼロ)ではないしね?
では、奨学金が払えないときに知っておきたい対処法を紹介するね。

 

 

 

奨学金が返せないと起こる6つのこと

約定利息に加えて遅延損害金が発生する

奨学金は利息をつけて返済することになりますが、もしも返済を遅延したときは、利息に遅延損害金も追加して返済しなければいけません

支払う遅延損害金の金額は、遅延していた金額と期間によって算出されるようになっており、計算式は「延滞している割賦金 × 返還期日の翌日から返還した日までの日数÷365 × 0.05」となります。

計算式にある「遅延している割賦金」ですが、返済に加えていた利息は含まれませんので気をつけてください。

なおここでは利息付きの奨学金についての説明であり、無利息である第一種奨学金の場合は、計算式の最後の「0.05」が「0.025」に変わることになります。

 

督促されてそのうちに連帯保証人へ請求がいく

奨学金を滞納すると、日本学生支援機構から督促状が送られてきますが、それに応じず無視していると、今度は連帯保証人に対して、奨学金の返済請求がなされます

なお奨学金では連帯保証人の他に保証人もたてられますが、こちらは連帯保証人とは性質が若干が違うので気をつけてください。

保証人には「分別の利益」というものが認められており、保証人が複数いた場合、借金を人数で割った額が各保証人の返済額となります。

また奨学金の場合、連帯保証人や保証人でなはない親族に対しても、返済請求が来ることもありますので注意が必要です。

通常の金融機関であれば、連帯保証人や保証人以外には返済請求をしてはならないと貸金業法で定められているですが、日本学生支援機構には貸金業法の規制は及ばないため、保証人以外の人に対しても返済請求ができるようになっています。

ただし連帯保証人や保証人でない限り、返済する法的義務は生じないので、請求を無視して大丈夫です。

 

 

滞納期間が3ヵ月を過ぎると個人信用情報機関に登録される

奨学金の滞納が3ヵ月を超えると、個人信用情報機関いわゆるブラックリストに、債務者本人の事故情報が登録されます

事故情報が登録されるとクレジットカードの審査で落ちたり、住宅ローンや車のローンで落ちたりなど、ローンや借金関連で制限を受けることがあります。

ただし金融機関を除けば個人信用情報機関に登録された事故情報は閲覧できないようになっているので、就職活動に悪い影響を与えたり、現在働いている会社に通知されたりすることはありません。

ただし与える影響は限定的ではあるものの、登録された個人情報は時間経過以外では消えないので気をつけてください。

登録された個人信用情報機関にもよりますが、延滞したという情報は、返済が解消されてから最低1年は残り続けることになります。

 

滞納期間が9ヵ月を過ぎると一括返済を求められる

滞納すると督促書や催告書などが送られてくるのですが、それらを無視して9ヵ月近く過ぎると今度は「期限の利益喪失通知書」が届いて、借金の一括返済を求められることになります。

分割払いしていた奨学金の返済が一括返済に変わるのは「期限の利益が喪失」するからです。

期限の利益とは「特定の期日までに、決められた金額を返済できれば後は自由にしていい」という債務者側の権利を表します。

たとえば「200万を借りて、毎月5万円ずつ返済する」という約束を決めた場合、期限の利益により債務者は毎月5万円を債権者に支払えば、督促などを受けることなく自由に過ごせるようになります。

ところが期限の利益の維持には、担保を保証することや返済義務を守るなどの条件があり、これらの条件を無視すると債権者に多大な迷惑を掛けたと判断され、期限の利益が喪失してしまいます。

期限の利益が喪失したことにより、分割返済でいいという約束もなくなり、債権者は一括返済の要請が行なえるようになってしまうのです。

 

 

提訴や財産の差し押さえなど法的措置を取られる

一括返済を求められてもなお返済をしなかった場合は裁判所へ提訴され、差し押さえなど法的措置が取られるようになります。

差し押さえによって取られてしまうのは給料や銀行預金、換金できる物品や不動産などとなっています。

そのため衣服や食料など、生活に必要な日用品まで押収されることはありません。

また銀行預金は全額が押収されるのに対して、給料は残しておかないと債務者が生活できなくなることから取られる金額に制限があります。

一般的に差し押さえられる額は手取りとなる給料の4分の1ほどです。

ただし手取りの給料が33万円より多い場合は、33万円を超えた分と手取りの4分の1を比較し、多いほうで差し押さえが行われます。

 

個人信用情報に延滞履歴が登録される

奨学金返済に遅延が発生すると個人信用情報機関に延滞した人の情報が書き込まれるようになりますが、差し押さえが行われるなど長期に渡って延滞が起きると、今度は個人情報の中に延滞履歴も追加されるようになります。

延滞履歴が追加されると、金融機関的には要注意人物となることから、個人情報が最低5年は残り続けることになります。

個人信用情報機関に情報があると、クレジットカードの作成を拒否されてしまうだけでなく、スマートフォンの分割支払い購入などもできなくなるので気をつけましょう。

 

ポイント

奨学金の返済の延滞はローン、クレジットの延滞と同じく個人信用情報に事故登録される

正当な理由なく延滞を放置すると、一括返済を求められたり、最悪は差し押さえを喰らうこともある

 

 

 

奨学金が返せないときに取るべき対処方法

返還期限猶予制度で返済期限の猶予を申し出る

日本学生支援機構とて返済が滞るよりも、少しずつでもいいから返済してくれたほうがよいのはいうまでもありません。

そのため機構では、経済的な事情や病気,災害などによって返済が困難になった人に対しては「返還期限猶予制度」という制度を使って、返済の猶予を与えるようにしています。

ただし誰でも利用できるというものではなく、制度を受けたい場合は病気で働くことが困難」「生活保護を受給中」をはじめ、「失業中」「給与所得者で年間収入が300万円以下、あるいは給与所得者以外は年間所得が200万円以下のいずれかの条件を満たす必要があります。また制度によって得られるのは「猶予」だけであり、「借金の減額」は起きませんので、制度を利用するときはその点を忘れないようにしましょう。

 

減額返還制度で一回あたりの返済額の減額を申し出る

「返還期限猶予制度」以外にも、「減額返還制度」という就学金の返済者を救済する制度があります。

減額返還制度は名前のとおり、毎月支払う返済額を減らしてくれるという制度のことです。

制度を利用すると月々の返済に関する負担は減るものの、元金が減ることはいっさいありませんので気をつけてください。

また返済するときは必ず利息がついてくるのも、変わりはありません。

減額返還制度を届け出ると1年近く返済額が減るようになり、延長は最長15年まで受け付けています。

 

債務整理によって減額もしくは免除を

奨学金も借金と同じなので、返済できないというときは債務整理をするという方法も有効です。

債務整理ときくと「自己破産」をイメージする方も多いですが、それ以外にも「任意整理」や「個人再生」などがあります。

同じ債務整理であっても、自己破産は借金返済が免除されるけど「免責不許可事由」など満たさなければいけない条件があるのに対して、任意整理は免責されないけれど、誰でも利用できるなど債務整理によって特性が異なります。

自身の収入や資産、奨学金の残高などをみて適切な債務整理を選ぶことが大切です。

 

 

 

奨学金の返済で困ったら早めに弁護士などの専門家へ

近年は増税の影響で可処分所得が減るなどにより、奨学金の返済が困難あるいは不可能な状況に陥いったという人が増えています。

奨学金を運営する日本学生支援機構でも返済の猶予や毎月の返済額を減額する制度は用意しているものの、それでも対応しきれないというケースも少なくありません。

そうしたときに頼りになるのが債務整理です。

奨学金も借金と同じなので債務整理をすれば返済の負担が大幅に減ったり、減額ができたりします。

債務整理は弁護士などの専門家に相談すると効率よく行なえますので、奨学金の返済に困ったら彼らに相談してみてください。

 

 

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