どうしても家や車を残して債務整理したいから、個人再生の手続きをしたいんだけど。
それにいったん認められた個人再生が取り消される場合もあるから見てみよう。
目次
個人再生は借金の理由よりも2つの要件を満たすかが大事
個人再生を利用したい場合は以下の2つの要件を満たさなければいけません。
1つ目は「将来的に継続して収入が得られる見込みがある」ことです。
個人再生をしたとしても借金を返済していくということには変わりないので、安定した収入が見込めるということが条件となっています。
サラリーマンやパート・アルバイト、年金受給者などが「継続して収入が得られる人」に該当し、生活保護を受けている人や働く期間が限定されている方などは継続した収入が望めないとみなされ、認められない場合があるので気をつけてください。
2つ目の条件は「借金が5,000万円以下である」ことです。
借金の金額が5,000万円以上だと個人再生による減少幅が大きくなりすぎてしまい、債権者に多大な損失をもたらす恐れがあるため、民事再生法で5,000万円以上の借金に対しては個人再生の適用が認められません。
また、住宅ローンなど一部のローンは個人再生での借金には該当しないので、借金額を計算するときなどは注意しましょう。
個人再生の要件を満たす2つの要件
将来的に継続して収入が得られる見込みがある
借金が5,000万円以下である
認められないとき(個人再生手続き申し立て時)
裁判所は条件によって個人再生の申し立てを棄却することがある
民事再生法には「申立棄却事由」というのがあり、個人再生の申立を棄却する条件が定められています。
債務者が裁判所に個人再生の申し立てをすると、裁判所側はその申し立ての内容が申立棄却事由に抵触していないかどうかをチェックし、もしも抵触していた場合は個人再生の申立を棄却を行ないます。
申立棄却事由にある条件は「再生手続の費用の予納がないとき」「裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき」「再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき」「不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき」の4つです。
● 申立棄却事由の条件 ●
- 再生手続の費用の予納がないとき
- 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき
- 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき
- 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき
債権者に再生計画案不許可にされる
個人再生は債務者が返済できる金額まで借金額を減らすことになるので、債権者側にも与える影響も少なくありません。
そのため個人再生計画案を作成したらそれを債権者たち審議してもらい、承認を得る必要があります。
もしも議決権を持つ債権者の半数以上が反対したなどで、承認が得られなかった場合は「再生計画案不許可」となり個人再生が認められません。
その場合は計画を練り直して再度申請を行なう必要があります。
認めた個人再生を取り消されるとき(個人再生手続き終結後)
債権者が個人再生許可の取り消しをすることがある
個人再生の手続きが締結したあとも、特定の条件を満たした場合は債権者側で個人再生の取り消しが行なえます。
取り消しができる条件は「再生計画そのものが不正な手続きにより成立したことに気づいた」「債務者が返済しないなど再生計画を守らなかったとき」「計画弁済額が破産手続きをしたときよりも少ない」などです。
個人再生の取り消しが決定すると減額していた借金はもとに戻りますが、個人再生中に返済していたお金は有効ですので、もとの借金額から今まで返済した金額を引いた残りが、債務者が返済していく借金となります。
なお、債務者が返済を怠ると個人再生の取り消しができてしまいますが、勤務先が倒産したなどやむを得ない理由があれば、取り消しを防ぐことができますので、その点は安心してください。
ポイント
個人で手続きを進めるのはリスクが大きい
個人再生は専門家に頼らず個人で行なうこともできますが、リスクが大きすぎるため、あまりお勧めできません。
そのリスクの1つが「法律の専門知識が求められる」という点です。個人再生は民事再生法によって利用できる条件や手続き方法などが定められているので、法律の専門知識が必須となります。もしも法律に詳しくない人が、個人再生を実施しようとしても、手続きなどに難航して個人再生が行なえない事態が発生する恐れがあります。
2つ目のリスクは「適切な再生計画案」が作れないということです。
個人再生をする場合は借金をどれくらい減額して、毎月どれくらい返済していくのかなどを記載した個人再生計画案を作成し、それを債権者に審議してもらう必要があります。
ですが、専門知識のない素人が作った個人再生案は、不備が多かったり現実的な返済計画でなかったりすることも多く、債権者から認められないがために個人再生が実施できないというリスクも考えられます。
個人再生の手続きを自分で進めるリスク
法律の専門知識が求められる
適切な再生計画案が作れない
個人再生の失敗を避けるなら、法律の専門家に依頼
再生を適用するには自身が抱えている借金の状況を客観的に把握し、かつ法律の専門知識も必要であることから、弁護士などの法律の専門家に依頼するほうが効率が良いです。
さらに専門家に依頼をすると、その専門家から債権者に対して借金の取り立ての一時停止を呼びかけることもできますので、債務者の負担が少なくなるというメリットもあります。個人再生をしようかどうか迷っていましたら、そうしたことを得意とする弁護士を探して相談してみてください。